11/11 時局心話会、山本善心の週刊「木曜コラム」に中津川の記事が掲載。

( 左から、陳鴻基 台北駐日經濟文化代表處 副代表、中津川、呉阿明 自由時報 董事長、大江参議院議員、山本善心 時局心話會 代表、大島信三 月刊「正論」編集長です。なお写真と肩書等につきましては、2004年当時のものです。)

 山本善心 時局心話会代表のコラムの一部を紹介します。

 

(以下抜粋)
 
「政治家に求められる倫理道徳」                                                

 1017日、東京池袋のホテルメトロポリタンで台湾の黄石城氏の著書『権力無私』日本語版出版記念パーティーを開催。当日は台湾彰化同郷会関係者らを中心に約450名の参加者で賑わった。黄石城氏は台湾中西部の彰化県に生まれ、東呉大学法律科を卒業後、弁護士を経て彰化県知事、国務大臣、総統府国策顧問、中央選挙委員会委員長、世界華文作家協会会長などを歴任した。
 筆者と黄氏の交流は20年以上に及ぶ。黄氏は「権力は一時的なものだが、倫理、道徳は永遠である」という政治信条を持ち、口癖は「政治家は国民のために何ができるか」である。黄氏はいくつかの誘いもあったが、国民党にも民進党にも入党せず、無所属での政治活動を貫いた。
 黄氏は著書『権力無私』で、政治を行う者は無私(私心の無いこと)、誠心(まごころで誠意を尽くす)、公儀、謙虚な態度が大切だ、が持論だ。腐敗と堕落に蠢く台湾政界にあって、黄氏を「地獄に真っ白な花が一輪咲いている」と形容する人もいた。

実は台湾通の小沢一郎氏
 筆者と黄氏の関係は1992年、当時自民党政調会長の森喜朗氏、1993年当時新進党党首であった小沢一郎氏との会談をセットしたことに始まる。黄氏は、小沢氏が自民党支配の権限を持ちながら七つの小党を統合して新しい政党をつくり二大政党制を結成した理念と行動力に深い関心を寄せた。
 黄氏には、小沢氏は政治改革によって政界を浄化する政治家と映っていたに違いない。黄氏は小沢氏の持論である二大政党制による政権交代に深く共鳴し、政策の促進に強い関心を持った。
 黄氏は小沢会談の席上、李登輝総統の日本訪問に協力していただきたいと要請。小沢氏は「李氏の訪問を心から歓迎します」と述べ、「来日が実現すれば李氏が日本の政治的実力者や官僚たちにお会いできるようセットしたい」と約束した。意外であったのは小沢氏が台湾通であり、台湾の紹興酒がおいしいと披露したことだ。

中国公使の抗議で6名の議員が訪台を断念
 話は元に戻るが、『権力無私』の日本語訳出版記念パーティーには10余名の民主党議員が出席してそれぞれが祝福の言葉を述べた。各議員らは、ほとんどの議員が会場を後にするなか、中津川博郷議員ら数名が最後まで残ったのが印象的だった。今や政界で台湾と言えば中津川氏の存在が大きくクローズアップされている。中津川氏の台湾に対する愛情の深さと熱意が際立っていた。
 話は少し脱線するが、平成163月、台湾2.28事件現場でのイベントと100万人の鎖といわれる台湾全土を人間の手でつなぐ一大イベントに筆者は中津川氏をお誘いした。これには民主党議員8名も参加したいとの申し出があった。
 しかし、われわれの動きを察知した当時の駐日中国大使館、程永華公使(現大使)と参事官が民主党国際部を訪れ、中津川氏ら数名の訪台について机を叩いて激しく抗議した。それゆえ申し出のあった議員のうち6名が訪台を断念した。中国は事あるごとに執拗に内政干渉を行ってきたが、こうした威嚇、恫喝は中国外交の常套手段だ。彼らの強硬な威嚇に6名の民主党議員はおそれおののき訪台を断念した。

公務員の基本行動とは
 しかしながら、その中にあって中津川氏の毅然たる態度はわが国古来のサムライ精神を彷彿とさせるものだった。中津川氏にも、「何か日台間の仕事をしていただきたい」と思うようになった。その後氏は「日台経済安保研究会」を発足し、日台間の様々な機関の重要な存在となっている。中国関係者によると、今では中津川氏に対する中国側の評価は高いという。
 台湾を愛する中津川氏と「権力無私」の黄石城氏の間には共通の価値観がある。中津川氏の行動力と黄氏との関係は後退する日台関係の太いパイプとなり、日台間の新しいドラマが生まれる前兆と期待したい。
 黄氏は決して目立つ存在ではないが、ひとたび行動を起こせば信念を曲げず、妥協せず、まっしぐらに目標に突き進むタイプである。彰化県知事時代は就任早々公務員に対して以下の基本行動を訓示した。一、公務員は法律を守る仕事であるから遅刻、早退は許さない。二、今日の仕事は翌日に持ち越さない。仕事の先送りや持ち帰りは許さないと厳命した。それ以来、彰化県庁では効率的な公務を行うことができるようになったという。

スキャンダルの粗探しの暇はない!
 筆者が弊誌に黄石城氏を取り上げたのは、今わが国政治家に欠けている清廉潔白な政治姿勢を黄氏から学ぶことが多いと考えるからだ。黄氏は政治に入ってから、倫理、道徳規範に基づいて自らを律した。「道徳心のない権力者と富豪は尊敬する価値がなく、軽蔑すべき対象だ」と語る。
 政治が権力を乱用すれば政治と社会は混乱するが、自民党政治の崩壊は倫理、道徳的規範の欠落と権力の乱用による結果ではなかろうか。わが国政治は党利党略、個利個略がまかり通り、経済は企業利益を守るために何でもありの姿勢が国力衰退を招きつつある。
 わが国の党、派閥、政治家個人の政治姿勢に国家国益という視点がみられなくなって久しい。わが国政治が諸外国に媚びを売り、国益を損じて来たのは、本道から外れた個利個略の政治手法にある。黄氏は「民主政治は、人民が主人公であって、人民が国家の主人公である」と説いた。「一に人民、二に社会の安定が肝要である」が口グセだ。現今の政治状況を見れば「政治とカネ」を肴に政党間のスキャンダルや粗探しばかりでは何も前に進まない。国民と社会を無視した権力乱用が目に付く昨今である。